CPU温度は一体何度までに抑えればいいのか、という疑問を持つ人は多いのではないでしょうか。私も自作PCでCPUクーラーを選ぶ際に同じような疑問を持ち、頑張って調べて見ました。しかし、何度までなら大丈夫という根拠は見つかりません。
ただ、調べていくうちにゲームをやっている時に平均して60~70℃くらいまでに抑えて、高負荷な時でも短い時間なら80℃台くらいまでは大丈夫ならなんじゃないかと考えるようになりました。これが絶対!というわけでは全く無いですが、参考までに紹介したいと思います。
私の環境:10700k、空冷で最高83℃ 水冷にすべき?
CPUクーラーの下調べでは、CPUパーツ構成、ケース内のエアフローや自宅の環境によってけっこう変化するため、「このCPUだったらこのクーラーを使っとけば大丈夫!」というわけではないことがわかりました。
なのでひとまず空冷でPC組んでみて、ベンチマークを回してみてから検討しようと考えました。実際にベンチ回してみると最高温度が83℃。ちょっと厳し目?
今は空冷での運用ですが、水冷に買えるべきなのか・・・。CPUクーラーの乗り換え検討のためにCPUの適正温度について調べてみました。
通説:CPUの適正温度は大体60~80℃ 最高60℃くらいが好ましいとの意見が多いっぽい
「CPU 適正温度」でググってみると適正温度は60~80℃くらいまでという意見があります。
ただ80℃は熱すぎで60℃くらいに抑えるべきとの意見がやや多いような気も。
CPUのレビューなんかを見ても、ベンチ回して空冷で80℃を超えたあたりから、「空冷では厳しい」という評価が出始めるような気がします。
そもそもCPU温度が高いと何が問題なのか
まず基本中の基本ですが、なぜCPU温度を低く抑えようとするのでしょうか。
intelのCPU温度に関するFAQでは、「CPUはスロットリングと自動シャットダウンという安全装置が働くため、熱による損傷はほとんどありません(筆者抄訳)」と書いてあります。
Could my processor get damaged from overheating?
It’s unlikely that a processor would get damaged from overheating, due to the operational safeguards in place. Processors have two modes of thermal protection, throttling and automatic shutdown. When a core exceeds the set throttle temperature, it will reduce power to maintain a safe temperature level. The throttle temperature can vary by processor and BIOS settings. If the processor is unable to maintain a safe operating temperature through throttling actions, it will automatically shut down to prevent permanent damage.
(抄訳:Q.CPUのオーバーヒートで壊れる可能性はありますか?
A.安全装置が働くためCPUがオーバーヒートによって壊れる可能性は低いです。CPUは、スロットリングと自動シャットダウンという2つの安全装置を持っています。CPUコアの温度がスロットリングの設定値を超えると性能を抑えて安全な温度を維持します。スロットリング温度はCPUやBIOS設定によって異なります。もし、スロットリングでも安全な温度を維持できない場合は、CPUの損傷を防ぐため自動的にシャットダウンします。)
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/articles/000005597/processors.html
スロットリングとは、一定温度に達した場合、CPUのパフォーマンスを下げて安全な温度まで低下させる機能です。自動シャットダウンは文字通りCPU温度が上昇しすぎた場合、PCを強制的にシャットダウンすることです。
インテル製CPUの場合、Tjunction max temperatureという閾値が設定されており、この温度に達するとCPUのパフォーマンスを低下させて温度上昇を抑え、それでも温度が下がらない場合はPCがシャットダウンします。
つまり、我々がCPUクーラーを使用しているのは、①自動シャットダウンを避ける、②高温によるパフォーマンス低下を避けることが主な理由と言えそうです。
インテルのサイトにも「自作PCユーザーの目標は、高負荷のタスクを実施中にCPU温度をTjunction未満に維持する構成を設計することです(筆者抄訳)」とあります。
①はPCがシャットダウンしてしまったら使い物になりませんし、②のパフォーマンス低下もいやですよね。
インテルの解説をそのまま読めば、Tjunction未満であれば問題ないとも解釈できそうです。とは言え、Tjunctionの温度ギリギリであれば、少し環境が変われば閾値に達してしまう可能性がありそうですし、すこし余裕をもたせる必要はあると思います。
Tjunctionが機能する温度は大体100℃くらいです。それにある程度の余裕を持たせて適正温度が60~80℃くらいというのが通説になっているのではないでしょうか。
The goal for a system builder or a do-it-yourself (DIY) end user is to design a platform configuration that keeps the processor under the Tjunction max threshold during heavy workloads to maximize performance of the system.
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/articles/000005597/processors.html
耐久性に影響しないの?
この他、温度の影響として自分がパッと思いついたのは、パーツの耐久性に悪影響があるのではないかという点です。例えば、60℃よりも80℃で運用する方がCPUが壊れやすくなってしまうのではないかという懸念です。
通常のCPUの寿命はどれくらいか調べると、こちらのサイトに興味深いことが紹介されていました。業界団体の取り決めによると、CPUは基本的に使用時間、環境によって著しく寿命が短くなる部品に分類されていないようです。そもそも寿命がないのであれば、耐久性にどれくらい影響があるかデータで示すことは難しいですね。
CPUクーラーでCPUが十分に冷やせるかどうかという話は、自作PC界隈では話題に上がりやすいですが、実際に熱とCPU寿命の関係を検証した記事を見かけないのは、検証しようがないということも影響しているのかもしれませんね。
たしかに、HDDが壊れたなんて話はそれなりに聞きますが、CPUが突然壊れたという話はあまり聞いたことがありません。寿命がない(かあってもものすごく長い)部品の耐久性に影響があったとしても普通のPCの買い替えまでの期間(5~10年くらい?)であれば影響があっても気にならない程度なのかもしれないですね。
重要なのは平均値?
海外サイトも調べてみました。アンチウイルス対策ソフト大手のアヴァストのウェブサイトに適正値についてこんな記述があります。
Is my CPU temp too high?
Now, how hot should your CPU be? The CPU temp depends entirely on the CPU used. In general, anything between 40°C and 65°C (or 104°F – 149°F) is considered a safe range during a normal workload. On my desktop gaming PC, which has plenty of cooling and a high-end CPU, I see temperatures varying around 50°C when I’m not really doing anything demanding. On my Ultrabook (again, very tight space for a powerful CPU), it averages around 75°C while I’m working.
At high loads, the CPU temperature can go up to 80-85°; consider that the absolute limit. During extended gaming sessions, expect to you will likely see your CPU temperatures go above 80°C. While that’s fine for a few minutes of gameplay or other intense CPU use, it isn’t a good idea for an extended period of time.
https://www.avast.com/c-how-to-check-cpu-temperature#topic-4
要約すると「通常負荷では40~65℃、高負荷時には数分とか短い間なら80℃を超えてもいいけど長時間は避けるべき。80℃を超える温度の限界は80~85℃くらい」とあります。
これもさきほど見たCPUの性質を踏まえれば納得ですし、通説とも整合的です。通説で60~80℃と幅があるのは、ゲームとかの作業中は大体60℃くらいまでに抑えて、マックスでも80℃くらいになるように抑えるという風に解釈できるかもしれません。常に80℃超えはよくないけど、到達したらまずい温度でもないという感じでしょうか。
結論:私はひとまず空冷を継続します
これまで調べてきた結果を見ると、CPU温度がCPUに与える悪影響についてのデータはなく、CPUの適正温度に明確な基準はないです。
なので、最終的には自分が納得できる温度で運用するしかないようです。私の環境だと負荷がかかるタスクは、ゲームをするくらいしかないので、今の所フルにCPUを使い切るようなことはないです。
また、フルに使ったとしても、83℃でスロットリングや自動シャットダウンに達するにはかなり余裕があるのでひとまずこのまま空冷でいいかなと。(これを調べている時に、もしかして10700kじゃなくてもよかったんじゃないか…?という疑問がでてしまったのは秘密である)
ただ、これだと事前にどのクーラーを選んだらいいか微妙にわからないですね。一般的に動画編集などではCPUが長時間フル活動することがおおいのでそういう方は性能がいいCPUクーラーを使った方がいいと思います。
一方、ゲームくらいの用途であれば無理して高い水冷を選ばなくても、まずは空冷を試して様子をみる、というのはいい選択だと思います。
ちなみに私が使っている空冷クーラーはこちら。6,000円くらいでちゃんと冷やしてくれるので空冷を試して見るにはぴったりのクーラーだと思います。かなり大きいのでケースに収まるかどうかはちゃんと調べたほうがいいです。