2020年10月27日、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が20年3Q決算を発表しました。結論は、決算は良好、買収はポジティブも先行き不透明です。私は将来性も考慮してAMD株を買い増ししようと思います。
※この記事は投資について書いていますが、投資は自己責任ですのでこの記事を元に売買して被った損失等についてなんら責任は負いませんのでご注意ください。
決算は良好
売上高は、28.1億ドル、EPSは0.33ドルと過去最高益を更新しました。アナリスト予想も上回っており、好決算といえます。Ryzenなど個人向けCPUやサーバー向けCPUの需要増が要因です。
決算日当日の株価は下落
決算日にAMDの株価は4.1%下落しました。決算良かったのになぜ?と思われる人がいるかと思います。
理由はザイリンクスの買収です。ザイリンクスはデータセンター向けCPUに強みをもつ半導体メーカーです。買収の話は決算前にも出ていましたが、ます。
簡単に計算してみますと、まずザイリンクスの2020年3月期決算の純利益は約8億ドルです。これがそのままAMDの決算に乗ることになります。そして、株式交換によってザイリンクス株1に対し1.7234株のAMD株が割り当てられ、AMD株主の構成は従来のAMD株主74%でザイリンクス株主が26%になるそうです。AMD株は1.2億株くらいですからざっくり1.6億株くらいになるイメージでしょうか。
計算上はEPSは上がりそうですが、結果株価は下がってしまっています。この日の株価指数はそれほど大きく動いていませんので相場全体に押し下げられたわけでもないようです。
一つの理由として考えられるのは投資家がこのM&Aの成功について懐疑的な見方をしている可能性があります。
ザイリンクス買収をどう評価するか
リサ・スーCEOはザイリンクスの製品はAMDと補完的であり、顧客網の活用で売り上げの増加やコストカットが期待できると説明しています。
マーケットは、確かにシナジーはあると評価していますが、やや懐疑的です。理由は、インテルも同様の買収を行っているのにうまくいってないからです。インテルはアルテラというデータセンター向け半導体企業を買収していますが、目立った成果をあげられていません。
この点はカンファレンスコールでも「インテルの買収はうまくいってないけどAMDはどうやって成功させるつもり?」という質問がありましたが、具体的な戦略には言及していませんでした。
インテルがうまくいってないからAMDもうまくいかないと判断するのは早計だと思いますが、そこまで確実にシナジーが生まれるわけでもないということでしょう。私は今後の株価を考える上でポジティブ、ネガティブどちらでもないニュートラルな要素と判断します。
将来性は◯
今後を考える上では、さらに収益増が見込めるかという点が注目です。データセンター向け需要の増加や、インテルの新型CPU開発遅れ等によるAMDのシェア向上は不安材料もなく順調に進捗していくと思います。ただし、これらの要素は株価に織り込まれていると考えられるため、上値は追いにくいようにもみえます。
ただし、私は、上下のリスクを考えると上振れのほうが大きいと見ています。10月以降、AMDはリテールPC向けCPUとGPUを発表していますが、今のところ自作PC界隈でも予想以上の出来なのではないかと言われています。
CPUはインテル、GPUはNvidiaと競合関係にあります。CPUの方は、インテルの開発が遅れているため、けっこう前からAMDがかなり売れています。一方、GPUの方はまだNvidiaの方が上です。私もこの前Nvidiaの新作GPUを買いましたが、かなりいい出来でした。
ただし、AMDのRX6000シリーズもかなりよさそうです。特に最上位モデルは、AMD製のCPUと組み合わせれば10万前半くらいの価格でNvidia製の20万円超えのGPUに迫るパフォーマンスを出せるらしいです。会社発表の話なので実際のところはまだわかりませんが、それでもゲーミングPCの有力な選択肢には食い込んでくる可能性が高いと見ています。
そういう意味では今後の売上も成長が見込め、場合によっては上振れする可能性があるとみています。
リテール向けCPUは予想以上の出来
11月に発表されたCPUの新製品Ryzen5000シリーズはかなり出来が良いです。事前の予想でもかなりいいんじゃないかと言われていましたが、それをさらに上回る高評価。リテール向け高性能CPUは現状インテルが選択肢にならなくなるほどです。
インテルは開発が遅れており、向こう1、2年はこの分野で立場を再逆転するのはほぼ不可能と思われます。
結論:買い増しします
私の米国株の基本スタンスとして、2022年頃まではコロナの感染状況で上下しつつも上昇していくと見ています。
こうした中でテクノロジー株は不安要素の少ないセクターですし、その中でも製品シェアに伸びしろの多いAMD株は積極的に買っていきたい銘柄の一つとして捉えています。AMDの収益に悪影響を及ぼすような情報がでてこない限り、買っていきたいと思います。